Route66ドライヴ記(2) バストウ 〜 キングマン
5月28日(水)
今日はカリフォルニア州のバストウからアリゾナ州のキングマンまで約22
0マイル走る予定です。
昨日、走ってきたInterstate15はバストウから北へ向かいラス・ヴェガス方
面に行ってしまいますので、私達はバストウからオクラホマ州オクラホマ・シ
ティまでは旧Route66に概ね沿って造られたInterstate40を走ることになります。
制約がありますので、とにかくアリゾナ州に入るまではハイウエイを走ることにしました。
カリフォリニア州の東>の端にあるニードゥルズまでは130マイルあり、高原の
砂漠地帯の中を延々と走らなければなりません。
アメリカのハイウエイは原則的にカーヴのない直線ですから、平地では地平
線まで道路が一直線に続いているのが見渡せます。
これだけでも私達には初めての経験ですが、その上右を見ても、左を見ても、
地平線まで見渡せて、そこには人っ子一人居なく、家も一軒もありません。
ただ、見える限り荒野が続いているだけなのです。
アメリカの広いことをまずここで実感させられます。
このあたりは大変暑いところで、車の温度計によると外気は摂氏43度を示
しています。Lincolnの温度計は室内温度も室外温度も摂氏と華氏の両方を選択
出来るので便利です。
一度レストエリアで車から降りてみましたが、頭がくらくらするほどの熱気
が漂っていました。
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この暑い中を走っているうちに、もしもこのような場所で車の調子が悪くな
って止まってしまったら、私達は一体どうなってしまうのかな?誰が助けに来
てくれるのかな?といささか不安に襲われました。
そうです、そのような時の為に私達はアメリカで使えるNTTの携帯電話を持って
きました。
それに、AAA(American Automobile Association)のサーヴィスを会員並に受
けることが出来るように、出発前にJAFから証明書をもらってきました。
日本のJAFとアメリカのAAAは協定を結んで互いに相手国の会員は自国の
会員並のサーヴィスを提供することにしているようです。
これは、日本からアメリカへ行く場合にはとても便利な制度ですので、是非
ご利用ください。
私達が定宿にしたBest Western MotelもAAA会員は10%割引でした。
また、AAAが発行している各州及び主要都市の道路地図は市販の地図よりも
見易いし、各州のガイドブックは旅行者には大変役に立ちます。
これらは現地のAAAへ貰いに行けば無料ですが、日本のJAFで貰うと一冊
数百円とられます。
さて、JAFの宣伝はこのくらいにしてRoute66の名所の一つであるオートマンと
言う町を紹介しましょう。
ニードウルズの先でコロラド川を渡るとアリゾナ州のトポックと言う町に入
ります。
トポックからキングマンまではInterstate40と旧Route66は全く別なルート
になっており、私達は旧Route66の沿線にあるオートマンに寄るために、
Interstate40を降りて旧Route66を進みました。
この道路は片側一車線で、路面の舗装状態は良くありません。
道路の幅も狭くて、Lincolnではいっぱいいっぱいのぎりぎりです。
しかし、交通量はほとんどありません。30分ほど走ってオートマンに着く
まで同じ方向に行く車は一台もなく、すれ違う車も数台でした。
アリゾナ州のこのあたりには何故か〜マンと言う地名が多くあります。
ここはオートマンです、今日泊まる予定の町はキングマンで、明日訪問する
のを楽しみにしている町はセリグマンと言います。何故だろう?
オートマンは本当にひなびた田舎町です。
片側一車線の道路に面して10数件のお店があるだけの集落です。
もし道路が舗装してなければ、西部劇のロケにそのまま使えるでしょう。
街の中心部には、これも相当くたびれた2階建のオートマン・ホテルがあり
ます。
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建物に入るとすぐ右手がバーになっているところも西部劇の舞台にそっくり
なこのホテルは、Route66関係の資料には必ず出てくる有名な場所なのです。
ここはその昔、かのクラーク・ゲーブルが新婚旅行に来て泊まったホテルだ
そうです。
そこで、一同クラーク・ゲーブルにあやかろうとカフェでコーヒーを飲みな
がらふと外を見ると、こんなところにも日本から来ている観光客のカップルが
歩いていました。
どのような意味があるのか分かりませんが、このカフェの壁、天上、梁、窓
台にはドル紙幣がところ狭しと貼ってありました。
表に出ると、通りにはロバが何頭か放し飼いになっていて、気を付けないと
糞で靴をよごすところでした。
この度、旧Route66を走ってみて面白いことに気が付きました。
Route66に関するグッズを売っているお店が最も沢山あるのがアリゾナ州です。
このひなびた街にもRoute66グッズを売っているお土産物屋は十軒近くあり、
それぞれがTシャツや、トレナーや、帽子や、カップや、その他いろいろな物
にRoute66のマークを付けて所狭しとならべています。
私はRoute66の沿線ではこのような状態がシカゴまで続くものと思い、最初
はグッズ類をあまり買いませんでした。
ところが東へ行くに従ってRoute66グッズは次第に少なくなり、イリノイ州
ではRoute66グッズを売っているお店は全くありませんでした。
今考えればオートマンでなければ買えなかったRoute66グッズが沢山あり、
ここで買っておかなかったのが残念でなりません。
お土産物屋だけではなく、Route66そのものに対する関心もこれと全く同じ
ように、最も熱心なのがアリゾナ州、とニュー・メキシコ州で他の五つの州は
関心が一段と低いようです。
アリゾナ、ニュー・メキシコは自然環境が厳しく畑や牧草地はありません、
むろん生産工場もありません、そこでRoute66を復活させて町興しをやってい
こうと言う意識が地元の人達の間に強いのでしょう。
この日はキングマンのBest Westernに泊まりました。